【第3回】”石” の分類

「鉱物」の意味

”石” にもいろんな分類がありますが、

「鉱物(こうぶつ)」といった場合には、ちゃんと定義があります。

ちなみに「鉱物」は英語でミネラル “mineral” です。

鉱物とは

自然界に存在し、特定の②化学組成と③結晶構造を持つ④無機固体物質


なんかわかるような、わからないような…

ポイントは4つあるので、それぞれ説明します。


①「自然界に存在する」とは

「自然が作り出したもの」 であるということです。


つまり『天然のもの』


このことから、人工的に作られた石(人工○○や合成○○)は、

鉱物の定義から外れるので、正確には鉱物ではありません。

言うなれば、「人工鉱物」です。


②&③「特定の化学組成と結晶構造を持つ」とは

「化学組成」 = 化学式で表せる成分

「結晶構造」 = 結晶の並び方


このふたつによって、特定できる物質であることを意味します。


わかりやすく言えば、
「その成分がはっきりしている結晶」のことです。



ここでのポイントは、

『鉱物は結晶である』

ということです。


ん?ガラス質は違うの?


前回説明したように、ガラス質は非晶質(結晶していない)なので、

鉱物の定義には当てはまりません。


したがって、鉱物ではない…のですが、

”天然ガラス” は鉱物学の研究対象となっているため、

例外的に鉱物とみなされることがあります。


「準鉱物(じゅんこうぶつ)と呼ばれる場合もあります。


④無機固体物質とは

「固体物質」はその名のとおり、気体でも液体でもなく ”固体の” 物質ということです。


では「無機(むき)」とは?

「無機」は「有機」の反対語です。

有機(ゆうき)
  • 主成分に炭素を含む化合物
  • 生物に由来する物質


鉱物学では ”有機” をこのように考えるので、この真逆、

つまり、『主成分に炭素を含まない、または生物と直接関係がない化合物』

”無機” としています。

「炭素」と「生物」がキーワードですが、
”生物由来かどうか” がより重要視されます。

”有機” と ”無機” については、
こちらで詳しく掘り下げています。




以上をまとめると、

  1. 天然である
  2. 成分がわかる
  3. 結晶である
  4. 生物由来ではない

これらすべてに当てはまる ”固体物質” が『鉱物』になります。



ただし、あくまで定義上の話なので、

ガラス質のように、厳密には ”鉱物” に分類されないとしても、

鉱物と同等に扱われる例は、他にもいくつかあります。

そのうちのひとつ、”有機由来” の例外的な石を次回取り上げます。




「石」「鉱物」「岩石」「鉱石」の違い

「石」いし

もっとも一般的で広い範囲を表します。

鉱物、鉱石、岩石は、すべて「石」です。


「鉱物」こうぶつ

今回説明したとおり、ある特定できる「結晶」の単体

どれだけ砕いても中身は同じ石。


「岩石」がんせき

複数の「鉱物」からなる集合体

砕くと、いろんな鉱物が出てくる。



※ただし同一の鉱物が集合して岩石を形成している場合もあります。

その場合「連続した結晶構造」が ”鉱物” としての区切りになります。
なので、構造的に分断された個別の結晶(鉱物)が集まった状態です。


「鉱石」こうせき

人間の経済活動に利用価値がある「鉱物」またはそれを含む「岩石」。

この場合の利用価値とは、金属に利用される鉱物『鉱石鉱物』と呼ばれます。

金、銀、銅、鉛、鉄などです。



終わりに

このほかにも「宝石」「半貴石」などの分類もあります。



石の定義や分類はさまざまですが、

文脈によって明確に使い分けている場合もあるので、

違いを知っておくと理解が深まります。




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