
1. 雲母の代表種
ここでは、雲母の代表種を取り上げます。
これらは『典型的な雲母』のモデルとなる共通の構造を持っています。
その違いは、八面体シートに入る金属イオンの種類や、成分の置き換わり方によって生まれます。
2八面体型
白雲母(モスコバイト、マスコバイト)

化学式:KAl₂AlSi₃O₁₀(OH)₂
結晶系:単斜晶系
色:無色~淡色(白、ベージュ)
硬度:2〜2.5
2八面体型を代表する雲母。
八面体の中心はアルミニウム(Al³⁺)で、1ヶ所は空位。
最も一般的で、産出量・流通量ともに圧倒的に多い。
アクセサリーとして流通するモスコバイトは、白色というより、ピンク〜淡紫、赤紫がかった色合いのものが多く見られます。
これは微量のマンガン(Mn)によって発色したものと考えられ、レピドライトに近い雰囲気を持つものもあります。
白雲母とレピドライトは別の鉱物として扱われますが、成分の変化によって連続する系列に位置づけられる、近い関係の雲母です。
3八面体型
鉄雲母(アンナイト、アナイト)

化学式:KFe²⁺₃AlSi₃O₁₀(OH)₂
結晶系:単斜晶系
色:濃褐色〜漆黒
硬度:2.5〜3
鉄に富んだ雲母で、八面体の中心は2価の鉄(Fe²⁺)。
黒雲母の端成分にあたる。
鉄雲母は、天然石アクセサリーとして単独で流通することは少なく、主に原石や母岩付きの鉱物標本として扱われることが多い雲母です。
金雲母(フロゴパイト)

化学式:KMg₃AlSi₃O₁₀(OH)₂
結晶系:単斜晶系
色:金褐色〜琥珀色
硬度:2〜2.5
鉄雲母の鉄(Fe²⁺)がマグネシウム(Mg²⁺)に置き換わった雲母で、同様に黒雲母の端成分をなす。
金雲母は、原石や鉱物標本として見かけることが多い一方、「ゴールデンマイカ」などの名称でアクセサリーとしても比較的流通しています。

黒雲母(バイオタイト)

化学式:K(Mg,Fe)₃AlSi₃O₁₀(OH)₂
結晶系:単斜晶系
色:黄褐色〜黒色
硬度:2.5〜3
黒雲母とは、鉄雲母と金雲母を両端とする連続固溶体を表す総称。
マグネシウムが多いと黄色寄りに、鉄が多くなるにつれて黒さが増す。
黒雲母は、標本や原石の状態で紹介されることが多いですが、市場では黒雲母を内包した水晶や、黒色のマイカ系アクセサリーとして見かけることもあります。
2. アクセサリーで見られる雲母のかたち
天然石アクセサリーとしては、ゴールデンマイカやモスコバイト、バイオタイトなど雲母単体を加工したものも見られますが、水晶に雲母を内包したインクォーツ系の商品が比較的多い印象です。
ブラックマイカインクォーツなど特定の雲母を内包したものから、不特定の雲母が含まれているケースまで幅広く存在します。
雲母自体は、薄くはがれる層状鉱物なので、アクセサリーにするとやや脆く、水晶に内包された形のほうが扱いやすいという利点があります。
また、水晶の透明感や奥行きの中で、雲母のキラキラした反射がより際立つため、アクセサリーとしての魅力も高まります。
なお、雲母は水晶以外の鉱物にもインクルージョンとして含まれることがあり、組み合わさる鉱物によって異なる表情を見せます。

フォリエーテッドとは、葉片状(ようへんじょう)のことで、「葉のように薄い板状」を意味します。
金雲母や黒雲母など内包している雲母は様々です。
3. 終わりに
今回は、いわゆる「雲母」の王道といえる種類を紹介しました。
一方で、天然石市場でよく知られる雲母の中には、典型的な雲母の構造から少し変化したものもあります。
そのひとつが「レピドライト」です。
レピドライトは天然石市場でも人気のある雲母ですが、その成り立ちを理解するには「ペグマタイト」という岩石について触れる必要があります。
そこで、次回はレピドライトを理解するための前段階として、ペグマタイトとはどのような岩石なのかを見ていきます。


