【第11回】ガーネットの種類

自然界で見られるガーネットの結晶は、特に岩石中で見つかるものは小さく、コロコロした形をしていることが多いです。

その姿が柘榴(ざくろ)に似ていることから、「柘榴石」という和名が付けられています。

結晶の形状は、菱形十二面体(りょうけいじゅうにめんたい)が最も典型的ですが、

凧形二十四面体(たこがたにじゅうしめんたい)なども見られます。

補足

「菱形」と「凧形」は、それぞれの多面体が持つ面の形状を示しています。菱形十二面体は全ての面が菱形(ひしがたとも読む)で構成されており、凧形二十四面体は全面が凧形でできています。


鉱物的な特性

「ガーネット」は一つの鉱物名ではなく、”類質同像(るいしつどうぞう)” (同形)をとる鉱物群のグループ名です。

つまり、ガーネット族またはガーネット群、ということになります。


”類質同像” とは、『同じ結晶構造を持つが、化学組成(成分)がちょっと違う』という現象です。


「同質異像(どうしついぞう)」(多形)と似た言葉なので混同しそうですが、

これらの言葉の「質」は「化学組成(中身の成分)」で、「像」は「結晶の形やつくり」を指しています。

【ガーネット(柘榴石)】

成分(化学組成): X3Y2(SiO4)3
※一般式

結晶の分類(結晶系): 等軸晶系


”同像” なので、基本的な結晶のつくりは共通しており、結晶系はいずれも「等軸晶系(とうじくしょうけい)」で共通しています。

成分は、一般式で表すと「X3Y2(SiO4)3」になります。

すべてに共通して「SiO4(ケイ酸塩) を含んでいるので、ガーネットは ”ケイ酸塩鉱物” です。


式中の
Xには、カルシウム(Ca)マグネシウム(Mg)(Fe・二価)マンガン(Mn)が入ります。

Yには、アルミニウム(Al)(Fe・三価)クロム(Cr)が入ります。


これらX、Yの組み合わせにより異なる種類のガーネットが形成されます。


鉱物学的には16種類あるともいわれていますが、

宝石・天然石として市場に流通しているのは、主に6種類です。


それらは共通する成分によって、

アルミニウム(Al)を共通して含む赤色系の3種類、

カルシウム(Ca)を共通して含む緑色系の3種類

に分けられます。

もちろん実際の色には幅がありますが、まずはこのように大まかに分けて見ると、それぞれの特徴がつかみやすくなります。

アルミニウム系

成分に共通してアルミニウムを持つ赤色系のガーネットグループです。

「パイラルスパイト系統」とも呼ばれます。

パイロープ・ガーネット
苦礬柘榴石(くばんざくろいし)

Mg3Al2(SiO4)3

マグネシウム
アルミニウム
ケイ酸塩

鮮やかな赤色


アルマンディン・ガーネット
鉄礬柘榴石(てつばんざくろいし)

Fe2+3Al2(SiO4)3

鉄(二価)
アルミニウム
ケイ酸塩

深い赤色


スペサルティン・ガーネット
満礬柘榴石(まんばんざくろいし)

Mn3Al2(SiO4)3

マンガン
アルミニウム
ケイ酸塩

明るいオレンジ色
(とくに鮮やかなオレンジ色を示すものは、流通上「マンダリンガーネット」と呼ばれることがあります。)


これら3種は「端成分(たんせいぶん)」と呼ばれ、赤色系ガーネット族の中で、

もっとも純粋な組成を示す、基準となるものです。

それぞれの成分を構成する「Fe(鉄)」「Mg(マグネシウム)」「Mn(マンガン)は、

性質が似ているため、自然界では混ざり合ったり、入れ替わったりして存在しています。


このような端成分どうしが混ざり合ったものを「固溶体(こようたい)」といいます。


また、混合の割合が任意で、連続して固溶体を形成する場合を、

とくに「連続固溶体」と呼びます。

パイロープとアルマンディンの中間成分を含んだ固溶体としては、

ロードライト・ガーネット:薔薇柘榴石(ばらざくろいし)
(Mg,Fe)3Al2(SiO4)3

がとくに有名です。

紫がかった赤色が特徴的で人気があります。




パイロープとスペサルティンの成分を含むガーネットの中には、「マラヤ・ガーネット」と呼ばれるものがあります。

マラヤ・ガーネットは組成に幅があり、ピンクがかったオレンジや赤みを帯びたオレンジなど、独特の色合いを示します。

なかには、ロゼワインのような美しいピンクの色合いを示すものもあります。


カラーチェンジガーネット

ガーネットの中には、光源の違いによって色が変化する「カラーチェンジガーネット」もあります。

特にパイロープとスペサルティンの成分を多く含むものに、有名な例が知られています。




赤色系のガーネットの中で最も一般的に流通している種類は、アルマンディン・ガーネットです。
多くの人々がガーネットと聞いて想像する典型的な色です。

スターガーネット

特にアルマンディンガーネットに見られることが多い、4条や6条の光の筋が現れる「スター効果(アステリズム)」を持つものを指します。



カルシウム系

成分に共通してカルシウムを持つ緑色系のガーネットグループです。

「ウグランダイト系統」とも呼ばれます。

赤色系と同様に、端成分となるのは次の3種類です。

ウバロバイト・ガーネット
灰クロム柘榴石(かいクロムざくろいし)

Ca3Cr2(SiO4)3

カルシウム
クロム
ケイ酸塩

ウバロバイト・ガーネットは、カットできるような大粒の結晶はほとんど産出されません。


グロッシュラー・ガーネット
灰礬柘榴石(かいばんざくろいし)

Ca3Al2(SiO4)3

カルシウム
アルミニウム
ケイ酸塩


アンドラダイト・ガーネット
灰鉄柘榴石(かいてつざくろいし)

Ca3Fe3+2(SiO4)3

カルシウム
鉄(三価)
ケイ酸塩

グロッシュラー・ガーネットに属するもの。


ツァボライト・ガーネット

天然石市場で一般に「グリーンガーネット」と呼ばれているものは、鮮やかな緑色を示すツァボライトガーネットを指していることが多いです。

緑色の発色には主にバナジウム(V)が関係していて、なかにはクロム(Cr)が関与するものもあります。



ヘソナイト・ガーネット

オレンジ色から褐色の色合いが特徴です。



リューコ・ガーネット

名前の「リューコ」はギリシャ語で「白い」を意味する言葉に由来します。

ほぼ無色透明で、カラーレスガーネット、ホワイトガーネットと呼ばれることもあります。


アンドラダイト・ガーネットに属するもの。


デマントイド・ガーネット
翠柘榴石(すいざくろいし)

アンドラダイトの中で、鮮やかな緑色から黄緑色を示す宝石質のものを「デマントイド」と呼びます。

高い屈折率をもち、特に分散度はダイヤモンドを上回ることで知られています。この高い分散によって、虹色のきらめき(ファイア)が強く現れます。

また、馬の尻尾のように見える「ホーステール」と呼ばれるインクルージョンが見られることでも有名です。

緑色は、アンドラダイトに含まれる鉄の一部に代わって、クロム(Cr)が入ることで生じます。


トパゾライト・ガーネット

黄色~黄緑・オリーブ系の色調を示し、名前はそのトパーズに似た色から来ています。



メラナイト・ガーネット

通常は黒から暗い茶色を示し、透明度は低いです。



その他:

レインボーガーネット

アンドラダイトの中で、内部にある非常に細かな層状構造によって光が干渉し、虹色の輝き(イリデッセンス)を示すものを指します。

奈良県天川村産のものが特に有名ですが、現在、その代表的な産地では鉱物の採集が禁止されています。



緑色系の端成分では、

ウバロバイトが持つ「Cr(クロム)」は他と入れ替わりにくいため、ウバロバイトと他の2種との固溶体は、部分的あるいは限定的になります。

※「形成できない」わけではないですが、自然界では比較的まれです。

グロッシュラーとアンドラダイト間では、連続的な固溶体が作られるため、

中間タイプが存在します。

それが、マリ・ガーネットです。

黄色から黄緑色の範囲で、アルミニウムと鉄の割合によって色が変わります。




豆知識

ガーネットの和名に使われている「鉄、礬、苦、満、灰」の漢字はそれぞれ、

  • 鉄(てつ) = Fe(鉄)
  • 礬(ばん) = Al(アルミニウム)
  • 苦 (く)= Mg(マグネシウム)
  • 満 (まん)= Mn(マンガン)
  • 灰 (かい)= Ca(カルシウム)

を指しています。


したがって、


アルマンディン (鉄礬柘榴石)

=鉄とアルミニウムが入ったガーネット

= Fe2+3Al2(SiO4)3

と名称が成分を表しています。


終わりに

ガーネットには、非常にたくさんの色があります。


ここで紹介したガーネットの色合いは、代表的なものにすぎませんので、参考程度に思ってください。


実際には、同じ種類のガーネットでも色調に幅があり、

他のカテゴリーと区別つかないほど似通った色合いになる場合もあります。




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