アベンチュリンって、
和名で「砂金水晶」とか「砂金石英」って書いてあるけど、
水晶なの?
その答えは、
イエスでもあるし、ノーでもある。
???
どうして、こういう答えになるか見ていきましょう。
「アベンチュリン」と「グリーンクォーツァイト」
広く一般的に流通しているアベンチュリンといえばこちらです。
翡翠に似た美しい緑色をしているため「インド翡翠」の別名でも知られています。
この石は、正確には『グリーンクォーツァイト』と呼ばれるものです。
ちなみに分類上は岩石であり、単一の鉱物ではありません。
※「鉱物」と「岩石」の違いはこちら
石英鉱物から成る石(岩石)ではあるけれども、
石英(水晶)とは違うくくりで扱われます。
なので、”アベンチュリン” がこの石のことを指しているのならば、
質問の答えは、『ノー』になります。
こちらは「グリーンアベンチュリンクォーツ」とも呼ばれるキラキラした輝きを持つアベンチュリン。
「アベンチュレッセンス」と呼ばれる光学現象は、
このアベンチュリンの特徴的な輝きが語源になっています。
そして、鉱物学的に ”アベンチュリン” といった場合は、
この「グリーンアベンチュリンクォーツ」のことを指します。
【アベンチュリン】
和名:砂金水晶 または 砂金石英
組成式:SiO₂(フックサイトなどの内包物あり)
結晶系:六方晶系
成分や構造などは、石英(水晶)と同じです。
したがって、本来の ”アベンチュリン” という意味でいえば、
質問の答えは、『イエス』になります。
市場における「石の名称」
市場においてはよくあることですが、
もともとは違う石が、似たような外観や特徴を持っていることなどから
同じように扱われ、やがて同じ名称で呼ばれるようになるケースがあります。
アベンチュリンはその一例です。
もともとは「グリーンアベンチュリンクォーツ」のことを指していたものが、
しだいに「グリーンクォーツァイト」もアベンチュリンと呼ばれるようになり、
今では、こちらが主流ともいえるほど認知されています。
市場での「石の名称」は、いわゆる『通称』なので、
世間一般に使用されていて、それがどういうものか認知されている名前です。
正式名称とか鉱物名とかは、また別の話です。
なので、「グリーンクォーツァイトはアベンチュリンじゃない!!」
という見解は少し短絡的です。
勝手に名称を偽っているならともかく、
”通称” アベンチュリンという名前での取引には、グリーンクォーツァイトも含まれているのが一般的だからです。
とはいえ、専門的な視点から見れば、
それらは異なる石であると理解しておくことは大事です。